第18話(3) 片想いの反撃

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「俺の目の前で二人の仲を散々見せつけてきたくせに」 「あ、の、すみません…」 「謝るな。俺は幸せそうに笑うシャロンが見られて嬉しいんだ」  『君の幸せを願っているよ』と言ってくれた、いつの日かのエリック様が今もそこにいて、彼の純粋な好意を改めて感じ、胸の奥から込み上がってくる感謝を彼に伝えたいと思った。 「ありがとうございます。私、エリック様と出会えて良かったです」  するとエリック様は微笑み、眩しそうに目を細めて私を見る。その眼差しがなんだか、レオンがよく見せるそれと似ている気がして…。 「…シャロン。やっと俺を男として意識してくれたのか?」  と言って、意地悪な顔をして笑うエリック様に戸惑う私は真っ赤な顔をしていたのだ。 「え、エリック様はもう私のことなどとっくに…」 「ああ、今も変わらずに君が好きだが?」 「…へ?」  混乱する私に手を伸ばしてきたエリック様。  剣を持ち慣れている節の大きな指が私の頬に触れるのかと思えば、通り過ぎて耳元の髪を優しく梳いた。 「手を伸ばせば届くのに……この胸の痛みがまるで甘い麻薬のようだよ」
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