第18話(3) 片想いの反撃

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「エリック、様…?」  切なそうに訴えるエリック様の瞳の奥で揺れるその色が何なのか見極める前に、エリック様は目を伏せてしまった。 「でも…君になら翻弄されるのもいいと思う」  再び向けられた緑の瞳は、とても綺麗に透き通ったような瞳で。エリック様らしい、さわやかな新緑の色。 「もう…何を言っているのですか」  知らずに済んで良かったと思った。緑の奥深くに眠るその色の意味を知らずに済んで、良かったと私は安堵したのだ。  髪を梳いていた指が、今度は私の肩を軽く押したので私の身体はぽすりと布団に沈む。  そんな私に覆い被るように近づいてきたエリック様に驚愕して、私は顔を赤らめ戸惑った。 「え、ええエリック様!?」  近付いてくるエリック様のお顔。  だ、だめです! 私には、私にはレオンという愛しい人が……本当にだめ!!  レオン、助けて…!
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