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「ええっと、今日の記者Xの『華麗なるお嬢様の観察日記』は……」
そんな中、ソフィがばさりと例の新聞を広げている。
「ふむ、お嬢様、昨日のパティスタン先生の授業に少し居眠りしましたね? さらには、校長が飼っている猫に赤ちゃん言葉で話しかけ抱きかかえようと試みるも逃げられる…と。お嬢様! 私が目を離した隙にそのようなお可愛らしいことをしていたのですか!」
初日こそ怒っていたソフィだけれど、今ではすっかり毎日かかさず記者Xの記事を読み込む読者になっていて、暢気に新聞に目を通しながらそんなことを言った。
私の批判記事は今ではすっかり、私の学園における日常生活を事細かに書かれた記事へと変貌していた。
私が学食で何を食べただとか、使用している羽根ペンはどこの店のシリーズのものだとか…翌日に記事で紹介された学食メニューは完売したり、雑貨店には人集りが出来たりと、ちょっとしたブームを巻き起こしていたりする。
おかげで学食に行くと、我こそはと料理を勧めてくるシェフたちに目で訴えられて困っている今日この頃。
「え、ええっ? そんなことまで書いてあるの!? 私、あの時誰もいないことを確認して…や、やだ! すごく恥ずかしい…!」
ソフィに読み上げられた記事の内容が恥ずかしくて熱くなる顔を両手で抑え狼狽えていると、レオンとエリック様が肩を落として息を吐いていた。
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