第19話(1) 記者X

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 新学期早々、リリス嬢とのいざこざがあり風邪を引いたりもしたけれど、あれから何もないし…とても平和な日々だなぁ、なんて思っていると、ソフィがハリス様たちに「そんなに記者Xを捕まえなくてはいけませんか? 楽しんでいる読者も多いですし、お嬢様に害があるわけではないのですから、そう敏感にならなくても…」と言った。  その瞬間、レオンとエリック様がとんでもない! と書いた顔でソフィに詰め寄る。 「ソフィ、これは重大な事件なんだぞ!」 「そうですよ、ソフィさん! 貴女は危機感がなさすぎる!」 「え、あ、え? 申し訳、ございません…?」  戸惑うソフィにルーカス様がやれやれと言った様子で二人の言葉を捕捉する。 「ソフィ、この記者Xは犯罪行為ギリギリの行いをしている。だから、ハリスも間者を入り込ませてでも記者Xを捕まえようとしているんだ。今はまだ学園内だけに特定したシャロン嬢の観察日記とされているが…もしこれが学園外に及んだらどうする? 何時に目覚めたシャロン嬢とか、顔を洗った回数や、着ているナイトドレスのブランド名、夜は何を食し、寝言の内容…とか…」  ルーカス様は話している途中に突然ギョッとした顔をした。  何故なら、レオンとエリック様が鬼の形相で魔力をバチバチと暴走させたからだ。 「ルーカス…それ以上は言うな。想像力が過ぎるぞ」 「ルーカス先輩、いま、シェリーのナイトドレス姿を想像なんて、していないでしょうね?」 「わ、わかったから! 想像もしていない! これは例え話で…とにかく矛先を俺に向けるなっ」
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