第19話(2) 王都のとある場所にて

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第19話(2) 王都のとある場所にて

◆◆◆ 「ちょっとこれ、どういうことよ!?」  バサっと投げつけられた、俺が書いた記事。 「どういう事って……お嬢さんに頼まれた通りに書いた記事ですけどー?」  椅子に腰を下ろし欠伸しながら答えると、目の前に佇む可愛らしいお嬢さんが怒りに肩をプルプルと震わせながら、俺を睨みつけてきた。 「私が頼んだのは、あの女の悪事を暴いてってことよ!」 「……悪事、ねぇ?」  俺は投げつけられた記事にチラリと視線を落とす。  シャロン・ナイトベル公爵令嬢……この目の前のお嬢さんの話では、陰湿で、苛烈で、そして冷酷で…計算高く腹黒い性格らしいのだが。  ここのところ、毎日観察しているが、俺にはどうしてもただの公爵令嬢にしか思えない。  …いや、普通の女の子にしか。  普通に笑って、怒って、悲しんで、楽しそうに毎日を過ごすシャロン・ナイトベル。  普通に恋をして…まあ、あの三角関係には興味あるけれど…普通に幸せそうに笑ってる。  可愛いな、なんて思ったりもしてる。彼女自身に興味が湧くくらいには、ね。
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