第19話(2) 王都のとある場所にて

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「しかしなぁ、いくら考えても分かんないんだよなー」 「…なによ?」 「リリス・スイートラバー、なぜ俺の正体を知っていた?」  俺は含みある笑顔で髪を振り乱していた目の前の少女を見つめる。リリス・スイートラバーは不気味な笑顔でニヤリと笑って、俺に向き直った。 「あの男が『英雄騎士のレオン様』だと気付いた時…だったら、あんたもこの世界にいるじゃないって閃いたの」 「はあ? 言ってることが全く分かんねぇな」 「私と、あんた達は違うの。だって私は、この世界のことなんでも知ってるんだからね」  …不気味な女だな。そしてこうも思う。このリリス・スイートラバーという女は頭は悪いが危険だ、とも。 「…ま、なんでもいいけどね。しっかりと契約金さえ払ってくれたらさ」 「……忠告しておくわ。シャロンには気をつけて。あの女も特別だから…きっとあんたの正体を見破るよ。くれぐれも注意して」  このお嬢さんがそう言うのなら、有難く忠告を受け取ることにしよう。
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