第19話(2) 王都のとある場所にて

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 …しかし、俺はシャロン・ナイトベルよりも、あのソフィという専属メイドに違和感を覚えている。職業柄、こういった勘は結構当たるんだよなぁ。 「ご忠告どうも。だが、誰も俺を見つけることなんて出来ないよ?」 「だから私はあんたを探した。イーサンたちみたいに私に失望させないでね!」  俺は椅子から立ち上がりリリス・スイートラバーの元へ歩み寄る。「な、なによ…」なんて言って強がっちゃって。俺に怯えてるって一目瞭然。  壁際にまで追い込まれたお嬢さんは、逃げ場を失い少し不安気な表情で俺を見上げてくる。そんなお嬢さんを馬鹿にした目で見下ろしながら俺は言った。 「身にあまる望みは、いつか身を滅ぼすぜ?」  忠告してくれたお礼に、俺も忠告してやろう。そんなやつら、今までにごまんと見てきたのだから。 「…言ったでしょ? あんた達と私は違う。この世界は、『ヒロインのための世界』。だから、欲しいものは何でも私のものよ、全部ね!」 「ははは、お嬢さんには敵わねーなぁ」  とびきり頭がおかしくて、な。 「…それに、シャロンを『悪役令嬢』に戻す方法なんて他にもある。あの女はその話題に事欠かない『キャラ』だから。明日の記事は私が書くわ!」 「ふうん?」  やれやれ。俺はもう、知ーらないっと。 「ふふふ…みてなさい、シャロン。あんたがどう足掻いたって、『ヒロイン』はこの私よ…!」  このお嬢さんが堕ちてしまおうが、俺には一切関係ない話だしな。
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