第19話(4) 翻弄される『記者』

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 何はともあれ、結局はシャロン・ナイトベルと専属メイドを事務所内に通す。  一応、断られるかなと思いながらも建前でインスタントコーヒーを勧めてみると、意外にも受け入れられてしまった。さらに専属メイドが淹れてくれるらしく、俺は大人しくシャロン・ナイトベルの前に腰を下ろしてコーヒーを待つ。  …しっかし、朝から不幸なことばかり起こると思っていたが、まさかシャロン・ナイトベルが訪ねてくるとは思いもしなかったな…。 『シャロンには気をつけて』  先日の、リリス・スイートラバーの忠告が脳裏に思い出される。俺から見るとただの恋愛至上主義少女にしか見えなかったのだが…まさか、本当にあの頭の悪いお嬢さんの言う通りだったのか?  俺はこの王都に住む『マイケル・マクソン』。歳は23。売れない記事ばかりを書いているしがない記者のひとりだ。天涯孤独の身。恋人はいない。代わりに煙草を愛する重度な喫煙愛好者で、自由気ままに生きてきた男。  …それが俺の『設定』。  本当の姿はとある帝国から諜報活動のために派遣された諜報員だ。  俺のような間者を世界中の国へ配置することで、他国の動きを監視している。ほら、情報っていうのは時に命よりも重い価値を生む時があるだろう? 大国と言われる俺の母国の命を受けて、この国で長期に渡る諜報活動を行なっているのだ。  本当の俺を、リリス・スイートラバー以外、誰も知らない…。
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