第19話(5) メイドとの取引

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第19話(5) メイドとの取引

 結論からいうと、シャロン・ナイトベルはやはり、ただの恋愛脳少女だった。 「な、なぜ俺が…貴女に好意を…!?」  混乱する頭で懸命に考えるが、ただそこだけが分からない。なぜ俺が彼女に好意を寄せていると勘違いされているのか…俺とシャロン・ナイトベルは今日初めて顔を合わせたはず。  俺は戸惑いながら一歩彼女の元へ歩み寄る。すると専属メイドが謎の戦いの構えをとり「ホワチャッ!」と言った。だから、なんだそれは! 「しらばくれないで下さい! 私の大切なお嬢様を『華麗なるお嬢様の観察日記』なる記事でストーカー行為を行ったではありませんか! 楽しく読ませて頂いた身としてはとても複雑ですが、これ以上は私が許しません!」  謎のポーズをとったまま、険しい顔をした専属メイドが言った。 「すとーかーこうい?」 「好きゆえに相手に付き纏い、そして監視することです!」 「え!?」  俺は驚き声をあげる。  …好きな相手に付き纏い、監視? そんな変態がいるのか…って、俺がそう思われてるってこと!?
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