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私の質問にお兄様は、いつの間にか後ろに控えていたリチャードになにやら命じると、リチャードが連れてきていた学園の守衛に指示を出して周りにいた女子生徒を遠ざけた。
人集りは消えて、この場はお兄様が来る前のように静かになる。
お兄様は私を改めて見ると非常に言いにくそうな表情を浮かべながらも、静かに口を開く。
「シャロン。君がセドリック王太子殿下の婚約者候補に選ばれたんだ」
「へ?」
「「はぁ!?」」
キョトンとする私の横で、怒った表情で腰を浮かせたレオンとエリック様。
「…な、なぜ? 私とセドリック王太子殿下は…その、わりと年が離れていると思うのだけれど…」
イーサン殿下との婚約を解消し、私は新しい恋に出会い今まさに愛を育んでいる途中なのよ? また…また? 王太子姫に…私になれと言うの?
「お、お父様…お父様が許すはずないわ…!」
「父上も承諾したよ」
「そ、そんな!?」
今度は私が顔面蒼白となる番だ。お兄様は、とても痛ましい表情で私を見つめていた。
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