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「貴女が、貴女が悪いんだ…」
レオンが震える声で言う。
「貴女があまりにも美しすぎるから…まだ幼い王子すらも虜にするその美しさはもはや罪だ! 俺は、もしシェリーが他の男のものになるなんて考えただけで…気が狂いそうになる…!」
「…まあ、レオン…!」
「シャロン、ときめいている場合じゃないんだよ?」
ぽわわんと漂いはじめた桃色の雰囲気を手で払いながらお兄様が冷静に言った。
「泣き止みなさい、レオン。そんなんで、ナイトベル公爵家の騎士が務まると思うかい?」
「!」
レオンがお兄様を見る。お兄様は不安げに眉を顰めながらもフッと笑ってレオンに命じた。
「レオン、君は今から一時的にナイトベル公爵家の護衛騎士だ。私の独断ではあるけれど…君を我が家に連れ帰ることに父上も異議はないはず」
お兄様の命を聞き、レオンは勢いよく立ち上がるとお兄様の元へ行き騎士の礼をとる。
「このレオン・タラン、ナイトベル公爵家の盾となり剣となります!」
その表情はいつものレオンの凛々しい表情で、とても頼もしく思う。
「うん、任せたよ」
「はい! 必ずや敵の首を討ち取ってみせます!」
「…その『敵』って、セドリック王太子殿下のことじゃないだろうね?」
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