第20話(1) ストーカーの次は…

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 なにはともあれ、私たちはレオンを連れて我が家へ帰る運びとなった。  エリック様やルーカス様もいてくれたら心強いのだけれど…今回のことに他の家門の者がいると余計に拗れてしまうだろうというお兄様の判断で二人には遠慮してもらった。  王都へ向けて走り出した馬車の中、私たち5人はセドリック王太子殿下の対策を練りに練った。  とくに、お兄様とソフィ、リチャードの討論が熱かった。私とレオンは3人の会話についていけずにポツンとそこに腰掛けていただけだった。 「はあ…まさかこんなことになるなんて…」  窓の向こうに小さくナイトベル公爵家の館が見えてきたところで、私はため息とともに愚痴をこぼす。それを聞いていたソフィも神妙な面持ちで頷いて「…はやくゼノを味方に引き込まなくちゃ」と呟いていた。  ゼノ…? 聞いたことのない名前に私は首を傾げるも、そういえば最近、マイケル・マクソンさんから謝罪の手紙を受け取ったなぁ。なんてぼんやりと考えた。 「……ストーカーの次は…」  そう心の声を漏らしてしまったところで、ソフィと目が合う。 「ヤンデレ、ですね」 「先が思いやられるわ…」 「大丈夫です、お嬢様! いざという時は私を盾にしてお逃げください!」 「そんなこと出来ないわよ!」  怒る私をみてソフィが優しく「ふふ」っと笑う。  …これから何が起こるか不安で仕方ないけれど…ソフィが、みんながいてくれるから大丈夫。  そんなことを無条件に信じられる私は、きっとヤンデレにだって負けないのだ。
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