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そして話は冒頭に戻る。
セドリック王太子殿下へ丁寧にお辞儀をして彼を見ると、王太子殿下はポカンとした顔で私を見つめていた。
まだ幼い子供らしい表情で私を見つめるセドリック王太子殿下は、いつか見た濁った瞳ではなく、輝く透き通った綺麗な青い瞳をしていた。
セドリック王太子殿下が何も仰らないので、私は少し首を傾げた。すると、先に来ていらっしゃったお父様がコホンと咳払いをしたので、セドリック王太子殿下はハッと我に返った様子を見せる。まず、お兄様に挨拶し次に私に目を向けた。
「…お久しぶりです、シャロン嬢。本日も変わらずにお綺麗で、つい見惚れてしまいました」
と、子供らしく笑うセドリック王太子殿下に私はニコリと微笑んでお礼を言った。
なんだか、後ろから不穏な空気を感じるけれど…相手はまだ8歳よ。落ち着いて、レオン!
すぐに察知したリチャードから肘でつつかれ怒られたレオンはしょんぼりと項垂れていた。
何はともあれ、私とお兄様も食卓につきナイトベル公爵家自慢のシェフたちのコース料理がスタートする。
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