第20話(3) 専属メイドの決意

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第20話(3) 専属メイドの決意

 昨晩のセドリック王太子殿下との触れ合いウォッチング会…ではなく。セドリック王太子殿下との晩餐会は何事もなく過ぎていった。  途中、お父様がシェフを呼び出し何かを伝えられた以降は、殿下の皿の料理だけ小さく食べ易いように切り分けられていたり、お母様自らで淹れられたティーを殿下に振舞っていたり…。  お兄様も、デザートをペロリと平げ物足りなさそうな顔をしていた殿下にさりげなく自身のデザートを譲っていたり…。皆どうやらセドリック王太子殿下の愛らしさに絆されている様子。  だから…私が食事の後、殿下と一緒に屋敷の庭園を散策したり、星空を見上げて星座について授業で習った内容を話して聞かせたり、談話室で遅い時間まで私が幼い頃に夢中になって読んだ英雄冒険譚の絵本を読み聞かせたりしてあげたのだが…なんら、特に問題はないだろう。 「いや、大アリです! お嬢様!」 「わあ! ソフィ? いきなりどうしたの?」  朝食を終えて自室の窓辺でソフィが淹れてくれたシャーロームティーを味わっていると、真顔なソフィがずずいと顔を近付けてきたので驚いた。 「窓辺でたそがれながら何やら満足そうに微笑んでいる様子を見ると、昨晩のお嬢様の行動になんの問題もないと考えていそうだなと思いまして…」 「ソフィ、貴女すごいわね…お見通しすぎて、少し怖いわ…」 「お嬢様の専属メイドですから!」  専属メイド恐るべし。隠し事は出来ないわね…。
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