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「大丈夫だよ、シャロン。父上も母上も、私もソフィも、屋敷の皆もいる。シャロンの味方はたくさんいるからね」
「お兄様…ありがとう、とても心強いわ…」
「ほら、涙を仕舞っておくれ。シャロンの綺麗な瞳が真っ赤になってしまっている。父上と母上ももうすぐこちらに到着する。シャロンがこの先どうしたいのか、素直な気持ちを二人に伝えるといいよ」
お兄様の骨ばった長い指先が私の涙を優しく掬う。
私の気持ちは決まっていた。その為に、ソフィ発案の『決定的浮気現場に乗り込む修羅場』作戦を決行したのだもの。言い逃れの出来ない、絶対的証人となる者たちを連れて。結果はどうやらソフィの予想をはるかに超えたものであったらしいけれど。
もしかしたら、殿下は普段通りに仕事をしているだけかもしれないと少し期待していた。その時はどうしても二人の出逢いを祝いたかったのだと、仕事の邪魔をしてしまい申し訳なかったと謝って退散するつもりだった。
………きっと、私と殿下は結ばれることのない運命なのだろう。
「ソフィ」
「はい、お嬢様」
「写真は…撮れたの?」
「えぇ、ばっちりと。ただいま現像しております」
私は、殿下との婚約を解消する。
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