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私はとりあえず殿下に先に部屋に入ってもらうよう声をかけて、改めてソフィに向き合った。
「ソフィ、心配のしすぎよ」
「お嬢様! セドリック王子はゲームの中でもヤンデレに加えて腹の内が読めない…何を考えているのか分からないようなキャラでした! それが、子ウサギのようにチョロいお嬢様とセドリック王子の組み合わせなんて…私は心配で仕方ありません!」
『ちょろい』って言葉の意味は分からないけれど、なんとなく褒められてはいないことは分かる。
でもね、ソフィ。私だって何も考えていないわけじゃないの。危機感だってストーカーの件でちゃんと身についているのだから。
のんびりとしてられないって、ちゃんと分かっているのよ! だからこそ、私自身で動かなくてはと思っているの。
「私はね、ソフィ。セドリック王太子殿下に今からでもたっくさんの愛情を注げばソフィの知る歪んだ殿下にならないと思うの」
「そ、それはそうかもしれませんが…でも、お嬢様はなんとなくセドリック王太子殿下の手のひらで転がされそうな予感がしてならないです…」
「ソフィ?」
私がキロリと目を鋭くすると、ソフィは「だって、お嬢様はお嬢様なんですもの…」なんて言う始末。
「見てなさい、ソフィ! 私がセドリック王太子殿下を素晴らしい王子に育ててみせるんだから!」
「いやぁ、お嬢様が張り切ると余計に空回り……こほん、じゃなくてシモン様にも相談しましょう? ね、ね?」
私が信じられないようね。ひどいわ、ソフィ。
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