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私は頬を膨らませてソフィに拗ねた視線を送り、セドリック王太子殿下が待つ自室へ入ることにした。
「セドリック王太子殿下、お待たせいたし……?」
部屋に入ると、セドリック王太子殿下が私の机の中を漁っている光景に出くわす。殿下は私とソフィの登場に、しまったという顔をした。
「な、なにを…?」
私の声は震えていた。これは、きっと怒りからね…。
「あ……散らかしてごめんなさい。シャロンお姉ちゃん…」
「んぐぅ!」
怒りたい! が、可愛い! 『シャロンお姉ちゃん』はずるい!
「どうしても昨日の絵本の続きを読みたくて…探していました」
「それならば仕方ありませんね…」
「いえ、机を漁るのは違いますよね!?」
私の隣で青褪めるソフィをそのままに、私はこちらに駆け寄ってきたセドリック王太子殿下の頭を優しく撫でながら声をかける。
「絵本は本棚にありますから、探すのなら本棚ですよ」
「はい、シャロンお姉ちゃん!」
天使の微笑みを見つめながら撫でる柔らかなプラチナブロンド…ここは天国なのかしら?
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