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「…楽しかった、な」
昨晩からのことを思い出しながら、王宮へ向かう馬車の中でひとり呟いた。
魔女に言い聞かされたような公爵家では無かったことに、何故だかホッとした。
「なんだ、知らないこともあるじゃないか」
魔女の自信に溢れた余裕な笑顔を思い出して、私は嘲笑する。
次に彼女のことを思い浮かべた。
幸せそうなシャロン嬢。満たされているシャロン嬢。皆に愛されているシャロン嬢。
きっとね、あの絵本の中だったらシャロン嬢がお姫様なのかな。そして光の騎士が……いや、これは考えるのをやめておこう。
もし私がドラゴンだとシャロン嬢が知った時、貴女はどうするのかな?
「絵本と同じように私を倒すの?」
私がポツリと呟いた質問に答えが返ってくることはない。
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