第21話(1) 同僚がデート中

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「ソフィ、もういいよ。わかったから…」  真っ赤な顔の涙目でマイケルさんの胸元をポカポカと叩いていたソフィに声をかける。すると、ソフィはぱぁっと明るい表情で僕の方を振り返った。 「お幸せにね、ソフィ」  その瞬間、ソフィの顔が歪む。 「え? リチャード? さっき分かったって…」 「さて…僕はそろそろシモン様の元へ戻らないと」 「待ってリチャード! まだ話は終わってな、んぐむ!?」 「リチャードさん、今日はお会い出来て嬉しかったです」  ソフィの口を後ろから塞ぐマイケルさんは、ニコリと色気のある笑顔を浮かべていた。 「はい、僕も…。ソフィは僕の同僚であり、何より大事な友人です。どうか、大切にしてやってください」 「むご、もご、もがー!」 「ええ、必ず幸せにします」 「もごもご、むー!」  僕は仲睦まじい様子の二人に会釈して、静かにこの場を去った。なにやら口を塞がれたままのソフィが助けて欲しそうな顔で僕を見ていたけど、気のせいかな?  …さて、シモン様をどう慰めようか?
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