第21話(3) 茜色の小公爵様

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 人は誰しも、嫌われたくないはずだ。  それは悪役令嬢だって一緒。なにもわざわざ悪役のカードを手にしなくてもいいのでは? 側にいてその子が真っ当な道を進む手助けしてもいいのではないだろうか?  そう思ってから私が決意を固めるまで早く、そこから3年間たまに訪問に来る奥様や旦那様と共にやってくるメイドさんの仕事を見様見真似で手伝って覚えた。  厳しいと言われる公爵家の使用人採用試験にも見事合格して…まあ、前世28歳の家事自炊していた女でしたから…そんなこんなで無事に10歳からメイド見習いとして働き始めた。  私は平民で孤児だし下女として採用されるかなと思っていたらメイド見習いでの採用だったので当時はとても驚いた。  孤児院でお手伝いしていた時に前世の記憶に頼った『お婆ちゃんの知恵袋』をいくつも披露してメイドのみならず奥様にも感心して頂いていたので、おそらくそういった所を評価して貰えたのだろう。ありがとう、前世のお婆ちゃん!  お嬢様との初対面は今でも覚えている。  3歳になったシャロンお嬢様のなんと愛らしいことか。背中にふさふさの小さな天使の羽根が見えてしまうほど幼児にしてこの世のものとは思えない美しさだった。兄のシモン様と並んだところを見た時なんか、セットでお持ち帰りしたいくらいだった!  お嬢様の更生も目的のひとつだが、ナイトベル公爵家がすっかり大好きになっていた私は前世の知識フル活用でこの家族を救いたいとも思っていた。
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