第21話(3) 茜色の小公爵様

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 だから、レオン様と同じ二作目の隠しキャラであるゼノ・コールマンと手を組んだ。  彼の諜報能力があれば、この国の中で起きている動きを把握できるからだ。もちろん、彼が提示してきた条件『ソフィの秘密』を教える代わりにだけれど。  私は自分が何者なのか彼に全てを打ち明けた。証拠にゼノに関する情報もいくつか伝えた。ゼノは私の言葉を信じるかな? 相手にして貰えなかったらどうしよう? そんなことを考えながら、今日の昼間にゼノに会いに行ったけれど……。 『これで俺たちは恋人同士だ。そう周知されていた方が、二人で会いやすいだろ?』  リチャードが去っていった後に、悪戯っ子のような笑みを浮かべてそう言った彼に、また私と会う気はあるのだなと安堵した。  しかし恋人って…いや、ゼノめちゃくちゃ格好良いけどね!? 偽りの恋人だとしても、私にとっては役得で間違いないし!  でも、よりにもよってリチャードに知られたってことは………ま、これ以上は考えないようにしよう。私は今の距離感で満足するべきだ。  改めて気合いを入れるために自身の頬をペチペチと軽く叩いていると、馬車の窓の外にナイトベル公爵邸が見えてきた。そろそろお嬢様たちを起こさないと…。 「お嬢様、レオン様。そろそろお着きになりますよ」 「ん…うふふ」 「どうされたのですか、お嬢様?」 「夢を見たの、私とソフィが姉妹になる夢。とても幸せだったわ」 「お嬢様…! なんて素敵な夢でしょうね」  お嬢様、可愛い。私の大天使! 女神! お嬢様と姉妹だなんて…そんなことになることは絶対に無いけれど、私はいつまでも姉の気持ちでお嬢様を見守っていますからね!
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