第21話(3) 茜色の小公爵様

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 公爵邸に到着し、お嬢様とレオン様と共に公爵夫妻へ挨拶に向かった。お二人からのプレゼントに公爵夫妻は大変喜んでおり、お嬢様とレオン様は奥様からお茶会に誘われていた。  旦那様にシモン様をお呼びするよう命じられた為、私はシモン様の執務室へと向かった。  到着し執務室の扉をノックするが返事がない。 「…あれ? おかしいな」  シモン様はリチャードと一緒に確かにここにいると、筆頭執事のゼロニスさんに教えて貰ったのだけれど。  うーん…旦那様に声をかけてくるよう言われたのだし…。私は執務室の扉を開けることにした。 「……シモン様? リチャード?」  なんとなくこっそりと扉を開いてみると、室内からムワッとアルコールの匂いが漂ってきた。 「うわ、お酒くさ…」  室内に目を凝らすと二人の姿をすぐに見つける。  リチャードは部屋の脇にある数人掛けの長椅子に横になり眠っているようだし、シモン様は空の酒瓶やワインボトルがいくつも転がった執務机に突っ伏した状態で眠っていた。 「二人で酒盛りしてたの? なぜ?」  こんなに潰れてしまうまで飲むなんて。  シモン様の性格からして意外というか、理解出来ない状況だが…これは今からお茶会に参加することは難しそうだ。  とりあえず、シモン様には机の上じゃなくて執務室の奥部屋にある仮眠室でお休みして頂かないと。
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