第21話(3) 茜色の小公爵様

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「し、シモン様!?」  突然のことで驚きのあまり、私の声がひっくり返る。 「…ソフィ……ほんもの?」  いつになく甘さを含んだような声。私の身体は熱を持ち硬直したまま、シモン様の腕の中。 「それとも私が作り出した幻…?」  シモン様の両腕が私の肩を、そして腰に回され抱きしめられる。 「ふふ…なんて素敵な夢なんだ…」  よ、酔ってらっしゃるから夢か現実か混濁されているんだ! この状況、どうすればいいの!? 「ソフィ、会いたかったよ」 「え…?」  心臓が痛い。シモン様、なんて罪な人。泥酔シモン様の破壊力といったらもう! 「ねえ、ソフィ。なぜ私をくるしめるの?」 「え、え…?」  窓から茜色が差し込み赤く染まる仮眠室。  シモン様の宇宙のように煌めく瞳がとろんと私を見つめている。  くるしめる? えっと…なんのこと…?
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