第21話(4) 酒は飲めども…(以下略

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 身体の汗を洗い流し、湯船に浸かった。湯気に包まれながら、昨夜のことを考える。  我ながら痛々しいなぁ、と思わず顔を顰めてしまう。失恋したからと言って、仕事を放って酒に溺れるとは。これが次期公爵のやることなのか。うん、切り替えよう。世の女性は何もソフィだけでは………私にとってはソフィだけなのに。 「…ソフィは今何をしてるかな…」  自然に溢れた言葉に、昨夜見た夢を思い出してしまう。  想い人を抱きしめ、唇を重ね、そして貪った。この現実ではありえない妙な夢は私の下半身を興奮させるほどにリアルだったのだ。感触とか温度とか匂いとか…。  どうせ夢だったなら、そのままこの硬い欲望を彼女に吐き出してしまいたかった。 「…私はなんて未練がましい男なんだ」  彼女はもう他人のものなのに、と自嘲気味に笑って、体が温まったところで湯船を出た。
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