第22話(2) 真犯人

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第22話(2) 真犯人

 私にあらぬ疑いをかけられた日から今日まで、私の知らないところでリリス嬢への虐めは続いていた。ノートだけでなく教科書や競技服を破られ、机に落書きされた罵倒文、椅子に細工されていたのかリリス嬢が座った途端に脚部が折れて腰を強く打ったのだと聞いたりもした。そう…何があったか私が知る頃にはいつも事はすでに終わっていて、何故か私が指示したことになっている。  何かある度に私は職員室に呼び出され、クラスメイトたちからは敬遠されるようになった。 「…お嬢様はそのような卑劣な事はしません。ソフィにはちゃんと分かっていますからね」 「うん…ありがとう、ソフィ」  いつもの東屋にレオンやエリック様たちと集まって昼食を取っていた。私がリリス嬢を虐めているという話は貴族科だけでなく騎士科にも広まっているみたいで、エリック様やルーカス様は難しい顔をしていた。 「俺たちも、シャロン嬢が無実なのだと分かっているからな」  ルーカス様の言葉に私は力無く頷いた。レオンは痛ましそうに私を見て「誰がこんなことを…許せない」と目をギラリと鋭くさせながら呟いた。 「今、俺とルーカス、そしてハリスでリリスへの虐めの調査を行っている。必ず真犯人を見つけてやる。それまでクラスでは居心地悪いだろうが何とか耐えてくれ」  エリック様が正義感の中に怒気を滲ませた表情で言う。私はお礼を言って、「クラスではラザーク様が庇ってくれるので、居心地は悪いですが耐えられそうです」とクラスでの状況を簡単に伝えた。 「ラザークが?」  少し驚いたような顔をするエリック様。 「先輩、どうしたのですか?」  エリック様の様子にレオンが訊ねると、エリック様は「……いや、なんでもない」と腑に落ちない顔で呟くように答えていた。
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