第22話(2) 真犯人

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「僭越ながら、ゼノ…いえ、私も調査を致しました」  ソフィが食後の紅茶を淹れ皆に配り終えたところで、おもむろに話し始めた。いつの間に調査をしていたのだと私は驚いて、今しがた私の後ろに控えたばかりのソフィを見る。「何か分かったのか?」とエリック様が質問していた。 「現在マシャーク伯爵家が運営する事業は上手くいっておらず、赤字続きのために借金が膨れ上がっているとか…」 「マシャーク伯爵家…と言えば、リリス嬢虐めの首謀者としてシャロン嬢を告発したのはそこのご令嬢だったな」  ソフィが手に入れた情報を聞きルーカス様がシャーロームティーをひと口啜ったあとに言うと、エリック様も思い出したように「マシャーク伯爵家の事業は確か観光事業に関するものだったな…観光行政や都市政策の最終決裁は宰相であるクラウディア公爵が行っている」と言った。  クラウディア公爵。ラザーク様の実家であり、イーサン殿下の母君である側妃様の生家だ。 「…ソフィ。マシャーク伯爵家に借金があるということは分かったのだけれど…それが今回の件であるリリス嬢虐めの首謀者と何の関係があるの?」  率直な疑問をソフィにぶつける。  私の専属メイドは難しい顔をして、「実は…」と続け彼女の知る情報を私たちに聞かせてくれた。
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