83人が本棚に入れています
本棚に追加
「…面会理由はイーサン殿下とシャロン嬢の事でしょうね」
息子のハリスから個別に話を聞いたのであろう。涼しい顔で小さく息を吐く筆頭執事に私も頷いた。
「イーサンもイーサンだが、令嬢も令嬢だ。このような小さな痴話事で父親に泣きつくとは…」
「未来の国母と申しましても、まだ成長過程の未熟な少女にございます。性格にもよりますが、仕方のない事でもあるのでしょう」
「そういうものか?」
「…えぇ、おそらく」
「はぁ。まあいい…ナイトベル公爵を応接室へ通せ」
私と筆頭執事の会話を不安げな表情で眺めていた侍従にそう指示を出し、侍従が部屋を去る後ろ姿を見送った。
「一体何を仰られるつもりなのでしょうか?」
ナイトベル公爵閣下は…。と続ける筆頭執事を横目に見て、私は「イーサン自身と、その後の関係性の改善についての苦言であろうな」と答えた。
最初のコメントを投稿しよう!