第4話(2) 陛下 VS 公爵

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第4話(2) 陛下 VS 公爵

「…今、なんと申した? もう一度言ってみろ」 「はい。ナイトベル公爵家はイーサン王太子と娘シャロンとの婚約の破棄をしたいと考えております」  応接室で、子憎たらしい男の顔を見つめながら、驚きのあまり開いた口が塞がらない。 「……今回の事でか?」 「はい、さようで御座います」 「娘に甘いにも程があるぞ、クロード!」  私は動揺からか、思わず声を荒げた。 「イーサンに非がある事は認めよう。その事については私もイーサンによく言い聞かせている。だがしかし、この婚約は国の未来のための婚姻である。このような小さな事で軽々しく白紙に戻せるような話ではないのだぞ! 令嬢は自身をただの貴族令嬢だと勘違いしているのではないか? 未来の国母だと言う自覚が足りないのではないか?」 「………『小さな事』?」  声を荒げる私だったが、目の前の男の青い瞳にすうっと冷気が宿ったことで、何か地雷を踏んだのだと理解した。
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