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「…お嬢様。エリック様と仲良くなられたのですね」
「多分、あの件を気に病んでのお心遣いなのでしょう」
「…そうですか? それだけじゃないような…」
「それよりも今日のメニューはなあに? お腹が空いたわ」
「あ! そうですね、失礼しました。すぐにご準備を…」
何か思案していた様子であったが、私の言葉にソフィは慌てて昼食準備に取り掛かる。
「お嬢様。今日はお嬢様のお好きなチーズオムレツですよ!」
「わあ、嬉しい!」
「ふふ、冷めないうちにどうぞ」
ナイフとフォークを手渡してきたソフィに笑顔でお礼を言い、ふわふわの卵にナイフを差し入れた。途端にとろりと中身が溢れる。優しい味の卵と塩気のきいたチーズが絡み合い、口の中でとろける食感がたまらなく好き。
「それではお嬢様。昼食中に失礼いたしますが、さっそく作戦会議を致しましょう!」
「? そうね?」
チーズオムレツに夢中になっていた私は、ソフィが何を言い出しているのかあまりよく考えていなかった。
「まずは、お嬢様の殿方の好みのタイプを明確にした上で作戦を練りましょう!」
「そうねぇ、好みのタイプ…思えばイーサン殿下の婚約者として今まで生きてきたから他の殿方に対して好ましさを抱いたことがないの。よく分からないわ…」
「なるほど…。お嬢様、イケメンという生き物にはいくつかのタイプがございます。例えば文化系タイプのイケメン、肉体派タイプのイケメン、ノリで生き抜くタイプのイケメン…など、様々です!」
「待ってソフィ…一体あなたは今何の話をしているの?」
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