第5話(2) 肉体派の生息地へ

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 名目上、エリック様をお捜しするという設定ではあったが、本当にお会いできるとは。エリック様は私の元まで駆け寄ると、眩しい笑顔をこちらに向けてきた。 「騎士学部中の生徒が噂していたので、もしやと思い来てみれば。やはり、シャロン嬢であったか」 「噂……ですか?」 「…あぁ、いや、何でもない。気にしないでくれ」  エリック様は何故か顔を赤らめると、コホンとひとつ咳払いをした。 「と、ところで、騎士学部には何の用で?」  この質問に何と答えればよいものか暫し思案する。…素敵な出会いを求めて、殿方とお近づきになりに参りました。なんて言えないし。悩んでいると、ソフィが華麗に助け舟を出してくれた。 「横から大変失礼致します。実はお嬢様が、エリック様より練習の見学のお誘いを頂いたのだとお伺い致しまして、私が未来の騎士様の練習風景に興味があると我儘を言ってしまい、お優しいシャロンお嬢様がお連れして下さったのです」 「…わ、私もどのような練習をなさっているのか興味があり、さっそくエリック様のお言葉に甘えましたの」  慌ててソフィの言葉に便乗する。
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