第5話(3) 新しい友人

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第5話(3) 新しい友人

 一口に学生同士の模擬試合と言うが、各々が自身の魔力で身体を強化しているので、まるで熟練の騎士達が戦っているかのような荒々しくも迫力のある試合に、私は最後までハラハラとしていた。  今、エリック様が相手の手元から模擬剣を薙ぎ払い落とした事で、最後の試合組み合わせの勝敗が決まった。数人集まっての模擬試合だったが、群を抜いてエリック様はお強かった。  流石は、武で名を馳せ侯爵の爵位を承っているエデルナンド侯爵家の次期侯爵様だわ。一緒に観戦していたソフィも「さすが、攻略対象者中一番のさいつよキャラ!」と、よく分からない言葉で感嘆しているようだった。  そして意外だったのは、私以外にも貴族学部の生徒が大多数観戦していたことだ。その全てが女生徒であり、エリック様が試合相手を下す度に、小鳥のような可愛らしい歓声があがる。エリック様ったら、とても人気のある殿方なのね。その人気ぶりに私は感心した。 「謹慎明けもあり、体が鈍っているようだ」  そう言いながら、遠慮がちに笑うエリック様がこちらへやってきた。 「何言ってんだ、エリック。いつも以上に気合いが入っていたじゃないか」  エリック様に続いてやってきたのは、最後の試合組み合わせで手合わせしていた相手、辺境伯家の長子ルーカス様だ。 「お二方、大変素晴らしい試合でした。お疲れ様です」
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