第5話(3) 新しい友人

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「シャロン嬢か、ありがとう。貴女が騎士学部にいるのは珍しいな?」  ルーカス様の鳶色の瞳が私を見据えた。短く刈った銀髪に、左側の眉尻に傷がある。強面なお顔立ちであるが、彼の優しい性格が滲み出ているのか柔らかな表情。豪快そうであるが、世話好きでお人好しそうなお人…そのような印象を受けた。 「えぇ、エリック様に観戦されないかとお誘い頂いたのです」 「ほぉ」 「ルーカス! 別にいいだろ…」 「いや別に、俺は何も言っちゃいないが?」 「だったら何だその目は! はぁ…変に勘繰るなよ」  クスクスと笑うルーカス様と項垂れるように手で顔を覆うエリック様のやり取りを、ぼんやりと眺めているとふとエリック様と目があった。 「…少しは楽しめただろうか?」 「えぇ、はい。最後までどちらが勝者となるのか、目が離せず夢中になって試合の行く末を見ておりました」 「そうか…。それならば、良かった」  額に輝く汗すらも爽やかに、彼の初夏を思わせる緑の目が楽しげに、そして安堵したように細められた。私はその瞳を見て、なんて綺麗なんだろう…と、そんな事を思った。
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