第5話(3) 新しい友人

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「! ……そ、その、…」  途端にエリック様のお顔が真っ赤になって目が泳ぎ出したので、私は不思議に思った。ソフィが「お嬢様ったら、本当に罪深いです」と、楽しげに耳打ちしてきたのだが…私、何か悪いことをしてしまったの? 「シャロン、外は暑いから喉が渇いただろう。俺が騎士学部の食堂から飲み物を取ってきてやる」 「エリック様…私は特に暑くありませんが…」  むしろ、暖かい日差しと涼しい風で心地良いくらいだわ。 「いや、暑い。絶対に暑い。メイド…ソフィと言ったか、ついてきてくれ」 「場所を教えて頂ければ、私が取って参りますが…」 「案内した方が早い! さぁ、行こう」 「ちょ、エリック様…! お嬢様、少しの間、その場から動かずにお待ちくださいね!」  スタスタと早々に歩き出したエリック様をソフィは慌てて追いかけていった。 「…不器用なやつだなぁ」  その場に残された私とルーカス様。可笑しそうにそう呟くルーカス様と共に、去って小さくなっていくエリック様とソフィの後ろ姿を暫し見つめていた。
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