第6話(1) 出会い

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「騎士学部にお知り合いがいらっしゃるのかしら?」  そこには、3人の貴族学部の女生徒がいて、とても見覚えのある令嬢達だった。  …リリス嬢とよく行動を共にしていた子爵や伯爵家の令嬢達だ。彼女たちは私の方に視線を寄越しながら何やら語らっている。 「そんな事はない筈よ。シャロン様はついこの間まで王太子様の婚約者だったんですもの」 「けれど、それにしては先程エリック様と親しげにお話されていたわね」 「ふふ、もしかするとシャロン様の次の婚約者様はエリック様が狙われているのかしら?」 「まあ…ふふ、情熱的なお方なのね」 「それか…もしかして…」 「あら、なにかしら?」 「元々、はじめからエリック様とはいい仲だったのかも…」 「まあまあ! それは…イーサン王太子がお可哀想ですわねぇ」  …好き放題に言ってくれる。  彼女たちが私に敵意を抱いているのは明らかで、王太子にリリス嬢が溺愛されていた事で仲の良い彼女たちの態度を増長させているのだろう。  しかし、私を蔑める為の会話なのだろうが、引き合いに出されたイーサン王太子やエリック様にも無礼を働いていると何故気がつかないのか。私は警告を込めてそちらの令嬢達に視線を向けるが、彼女たちはどこ吹く風。 「シャロン様の色恋沙汰に巻き込まれたリリス嬢が、とてもお可哀想ですわ」 「本当に」  無礼極まりないその会話を辞めようとしない令嬢達に、一言注意しなければと私は腰をあげた。
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