第6話(2) 綺麗な瞳

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「余計なことではありません。助けて頂き、有難う御座いました」  お礼を言い頭を下げると、彼は慌てた。 「頭を上げてください! 結果的に俺…いや、私の方が貴女に助けてもらうことになり、申し訳ありません」 「まあ。ふふ、貴方がいなければ、私はあのご令嬢たちをとっちめてやろうなんて、貴族令嬢らしからぬ事を考えていたのですよ。おかげで私の貴族としての矜持が守られました」  そう言って笑うと、彼は少し顔を赤らめながらも眩しそうに目を細めて私を見ていた。なんだかその視線がむず痒くて、気恥ずかしい。 「…申し遅れました。私はシャロン・ナイトベルと申します」 「俺は………レオン、です」  レオンとだけ名乗った彼は少しだけ表情を暗くさせた。家名を名乗らない事を不思議に思いながらも、レオンと言う名前を何度も頭の中で繰り返す。貴族にしては珍しい名前だと思った。 「レオン様…ですね」 「れ、レオンと、そう呼んでください…!」  女性と話す事に慣れていないのか、終始真っ赤な顔をしている彼が、とても可笑しかった。  そして愛らしいとも思う。
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