第6話(3) 胸の奥に秘める

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第6話(3) 胸の奥に秘める

 来た道を戻ると、そこにはソフィとエリック様の姿があった。 「お嬢様!」 「シャロン!」  ソフィの顔には心配していますと書いてある表情で、私の姿を見つけるなり二人はこちらに駆け寄ってきた。 「どちらに行かれていたのですか? 心配したのですよ!」 「あ…ごめんなさい。二人が戻るまで散歩を、と思って…」  レオンの事は言わなかった。  …なんだか、言いたくなかったの。あの金色の瞳の美しさとか、お顔を赤らめたお可愛らしい表情とか、心地の良い低い声とか、拒絶された悲しい気持ちとか。全部、心の奥底に閉じ込めて鍵をかけたかった。 「お嬢様…? どうかなさいましたか?」 「え…?」 「お暗い表情をされているので…」  ソフィの言葉にドキリとする。ソフィには敵わないなぁ…。 「散歩して、疲れたのかも」  私は肩をすくめてソフィに笑顔を向けてみせるが、ソフィはまだ納得していないような表情だった。エリック様も心配そうなお顔でこちらを見ていたが、木陰にあるベンチを手のひらで指し示しながら、私を優しくエスコートしてくれた。 「疲れたのならあちらで休もう」
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