第7話(2) 謝罪とは…

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第7話(2) 謝罪とは…

 イーサン殿下に呼び出された場所に向かうと、そこには殿下だけではなく、ハリス様とラザーク様、そしてエリック様もいらっしゃった。 「…来てくれてありがとう、シャロン」  未だに私を呼び捨てる殿下の言葉が気に掛かったが、私は愛想笑いを浮かべて頷いた。イーサン殿下が指定された場所は学園内にある生徒会役員のみが使用できる特別なテラスだった。このテラスの用途目的はなんだろう? 極秘会議を行う時? などと、どうでもいい事を考えていると、イーサン殿下自らが椅子を引きそこに座るようにと私を促してくる。  180度変わった殿下の態度に小気味悪さを覚えながらも、私は素直にその椅子へと腰を下ろす。  すると殿下は私の両肩をそっと優しく包み込むように掴んできたのだ。ビクリと肩を跳ねさせた私に向かって、殿下は「シャロン、今日の君はまた一段と美しいな」と耳元で甘く囁き微笑みかけてきた。ゾッとした。 「…イーサン」  咎めるように殿下を呼んだのはエリック様だ。それに同意するようにハリス様も顔を顰めて殿下を見ている。  殿下は面白くなさそうに拗ねたような表情を浮かべて、自身の席へと着席する。 テラスにはプラントに植えられた花々が所々に飾られており、大きめの白い丸机にアフタヌーンティーセットが用意されていた。  私から時計回りにエリック様、殿下、ハリス様、ラザーク様という並びに座っている。なんだこの場は。  今から楽しくお茶会でもすると言うの? 私の目の前には殿下とハリス様が座っていた。どういうつもりでこの場を設けたのか…もはや言葉にならない呆れから、理解することを諦めた私は小さく息を吐いた。
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