第7話(2) 謝罪とは…

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 それにしても、またエリック様に助けられたな。私はそう思いチラリと左隣に目を向けると、彼の新緑の瞳とすぐに合ったので感謝の意を込めて会釈した。 「シャロン嬢、本日は時間を頂き感謝するよ」  そう切り出したハリス様は何ともやりにくそうな表情で、この度は誠心誠意、謝罪をしたく場を設けたとの内容をお話していた。  どこの誰が見ても、謝罪の場にはなり得ないこのお茶会風景に私だけでなくハリス様も戸惑っているようだ。 「こちらこそ、わざわざお気遣い頂きまして…このようなご準備にもお心遣いを感じます」  わざと皮肉めいて言ってみると、殿下以外の3名が苦笑いした。ただひとりだけ、とても嬉しそうな反応を示す。 「シャロンはお茶会が好きだろう? 入学してから何度も誘ってくれたじゃないか」  そうでしたね。一度もいらっしゃる事はございませんでしたが。  口を開くとそんな事を言ってしまいそうで、私は口をしっかりと閉じ微笑みを返した。 「ほらな、私の言った通り。シャロンも喜んでいるぞ」と、私の微笑みをどう解釈したのか、得意気に頓珍漢な事を仰る殿下を横目に、折角用意して頂いた紅茶に口をつける。  …私、この方のためにあんなに大変な思いをして、王太子姫教育を受けていたのね。  なんとも苦い気持ちになり、飲んでいた紅茶に追加で角砂糖を落とした。
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