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「ソフィ…私は、私はどうすればいいの?」
気付けば私も涙を流し、目の前で鼻をすするメイドに助けを求めるよう見上げていた。
「…お嬢様、イーサン王太子のことはお好きですか?」
ソフィは私に目線を合わせるよう私の側で静かに膝をつく。今度は私が見上げられる形となった。
「…そうね。けれど、私のこの恋心が家族すらも不幸にする引き金となるのなら、正直殿下と婚姻を結びたいとは思えないわ」
「お嬢様…」
私は尊重し合える関係を求めているのだ。
ソフィの話を聞く限り、もし破滅することなくイーサン王太子と婚姻したとしてもそんな関係性を築いていけるのか怪しい。
それに、婚約者がいながらも他に恋人を作ると言う不義を先に働いておきながら、私だけならともかく、私の家族までをも不幸に突き落とすその神経が信じられない。
そう思うと、私の温かな恋心は急激に冷えていった気がした。
そう、丁度目の前にある冷めきった紅茶のように。
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