第7話(3) やらかす王太子

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第7話(3) やらかす王太子

 なんて無駄な時間を過ごさせられたのだろう。お茶会(謝罪の場)の帰路、私は言いようのない鬱屈な気持ちと殿下の頓珍漢ぶりへの怒りと心労から、苛々を募らせていた。  …いや、苛々なんてものではない。怒り心頭だ。  ソフィは今、アパートメントの部屋を掃除している筈…。次の授業までにまだ少し時間に余裕があるからこの気持ちをソフィに聞いて貰いたいわ! 心の安寧を保つため、彼女の元へと早足で向かっていた。  中盤から、私をはじめとした殿下以外の3人も諦めたらしく、普通にお茶会を楽しむことにしたようだった。お友達のエリック様とはよく話が弾み、そこにハリス様やラザーク様も会話に入ってくる、と言うのが大体の流れであった。  殿下と言えば、私とエリック様の会話風景を静かにまじまじと観察していらっしゃった。  関わりたくない、と内心思いながらも主催の殿下を蔑ろにする訳にはいかないので、私や皆それぞれが気遣って質問を投げかけていた。 「…シャロンとエリックはいつの間に、そのように仲を深めたんだ?」  お茶会(謝罪の場)の終盤、殿下から投げかけられたひと言。  これが、この場を凍りつかせる事態に繋がるとは知りもしなかった私は殿下の言い方に引っかかりながらも「縁が重なりお話する機会がありまして、お友達になりました」と答えた。殿下は「ふぅん」と少し面白くなさそうな顔をする。
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