第7話(3) やらかす王太子

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 …私にしっかりと謝りたい? エリック様と恋仲だと噂を聞いた? 懲りずにリリス嬢と文通を交わし続けていた? 「…とんだ茶番ですわ」  なんだか笑いが込み上がってくる。 「殿下、本当になんて茶番なのでしょう?」  あははと笑って、ポカンと阿呆面にこちらを見つめる殿下を見た。 「こんな可笑しな喜劇、お芝居でも中々ございませんよ」  そう言ってから、ふう…と息を吐いて私は立ち上がる。「しゃ、シャロン嬢! …今、今僕から深い謝罪を…!」と席から飛び退いて地面に膝をつき頭を下げるハリス様に冷たい視線を送り、ニコリと微笑む。 「結構でございます。では、ご機嫌よう」  去る私を引き止める者は誰もいなかった。
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