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「…ところでシャロンはこの後どうするの?」
「あ…、私は、もう少しここで紅茶を頂こうかと…」
すると、ソフィが驚いたように目を開く。まだここに居るつもりですか? と、声が聞こえた気がした。
「そうか…。では、ソフィを少しの間借りてもいいかい?」
「ソフィを?」
「うん。ここならシャロンも安全だから安心だし、私の買い物にちょうど付き人が欲しかったところだったんだ」
私はお兄様からソフィにチラリと視線を移す。
「ソフィが良ければ」
「…ここに居てもどうせ私はやる事ありませんし、シモン様のお買い物、張り切ってお供致します!」
拗ねた様子でソフィが言う。その隣では嬉しそうに笑うお兄様がいた。
「シャロン。ソフィの機嫌は私が治しておくよ。任せて」
そうウインクしてこっそり耳打ちするお兄様に、私はクスクスと笑って「お願いします」と耳打ち返した。
ソフィに行こうかと言い席を立つお兄様の後ろで、来客を知らせるベルが鳴り、一人の殿方が入店する。私はその人物を認識するなり目を開いてガタリと勢いよく席を立った。
「…シャロン? どうしたんだい?」
驚いた様子のお兄様とソフィの視線を受けて私は戸惑う。
「あ…えっと…あのう…なんでも、ないの」
私の様子が変だと感じた二人は、私の視線を辿ってお兄様の背後に目を向けた。
「あ! だ、だめ…っ!」
恥ずかしくて顔が熱い。私が止めるも二人はそこにいる殿方を視界に捉える。
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