第9話 愛を囁く

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「ありがとう、ございます…!」  感極まったようにレオンは目尻に涙を溜めていた。 「な、何故泣くの?」 「すみません。本当に、嬉しすぎて…」 「…そうなの。……喜んで貰えて、良かったです」 「…宝物にします」  モジモジとする私たちを見てニコニコと笑っていたお兄様は「私たちはそろそろ失礼しようかな」と言って席を立つ。 「ソフィ、行こうか」 「え…でもシモン様…あの方が…」  後ろ髪引かれる様子でこちらを振り返るソフィの手を引きながら「彼は大丈夫」と言って、「さぁ、ソフィ。私たちもデートを楽しもう!」と麗しい笑顔をソフィに向けていた。「で、デート!?」と真っ赤になるソフィを連れてお兄様がお店を後にし残された私たちは、互いに赤くなっている顔で下を向いたままだった。
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