第10話(1) 剣技大会当日の朝

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「彼、レオンって言うのだけど…レオンが今日の大会で奇跡を起こしたら自分のことを知って欲しいって言ってくれたの…」 「そ、それって…!」  ソフィの手が止まる。 「優勝して愛の告白をしますと言っているも同然ではないですか!」 「そ、そうよね! やっぱり…!」  私は熱くなる頬を両手で抑える。無意識に笑みが溢れてしまう。なんてむず痒い気持ちなの。 「…お嬢様は、レオン様をどう思っているのですか?」  ソフィの質問に、私は静かに目を閉じて考えてみた。 「レオンの姿が見えなかったら会いたいなって考えてる…。会えた瞬間は嬉しくて、彼に見つめられると少し不安になってしまうの。今日の私、変じゃないかなって」 「お嬢様…」  ソフィは編み込んでいた髪を何故か解き、また一から櫛で梳いていく。 「それは恋です! 確実に!」 「わあ!?」  ソフィの勢いに驚いてしまった。 「こうしてはいられません! このソフィ、気合いを入れてお嬢様をとびっきり可愛く仕上げてみせます!」
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