第10話(2) 第二王子との挨拶

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第10話(2) 第二王子との挨拶

 澄み渡る青い空が気持ちいい。私とソフィは馬車から降り立ち、目の前の闘技場を見上げた。  闘技場は上から見ると丸い建物となっており、真ん中に選手たちが試合を繰り広げる予定の広大なフィールド、そしてその周りをぐるりと何千人と収容できる観戦席がある。天井はなく吹き抜けとなっている造りだが、魔法で目に見えない保護膜が張られているため例え悪天候でも問題ない。  そんな建物へと入っていくのは生徒だけではなかった。貴族達もまた、観戦しに来ていた。  剣技大会とはただの王立学園の催し事ではないのだ。王立学園の騎士学部を卒業した生徒は大多数が王宮勤めとなるが、中には貴族に仕える者もいる。  国の重鎮の貴族たちは国を守ってくれる未来の騎士を、それ以外の貴族は娯楽を兼ねて我が家に迎えたい騎士がいるかどうかを見極めに来るのだ。だから闘技場を使い大規模に行う。  それに闘技場には魔法防壁が張られていて観客席が保護されているので安全性も高いという理由もあるけれど。もちろん、この国の最高権力者である陛下もお見えになる事は必須である。 「お父様たちとの待ち合わせは、入り口前だった筈だけれど…」  私は人探しのために周りを見渡す。と、すぐに見知った人物を見つけて私はニコリと笑った。 「シャロンちゃん。元気だったかしら?」 「シャロン、待たせたな」 「お父様、お母様、ご機嫌よう」  両親と挨拶を交わしてお兄様の姿がない事を疑問に思う。どうやら、アカデミーでの予定が押してしまい私たちとの待ち合わせには間に合わないとのこと。だが、すぐに来れるようだ。 「シャロンちゃん…今日はなんだか雰囲気が違うわね」 「あぁ、まるで天使のようだよ」  両親にも気付いて貰えて、私は笑顔になる。ソフィが張り切ってくれたのだと伝えると、称賛する両親の視線を受けたソフィは得意げに笑った。
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