4 やよい軒とかつや

1/10

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ

4 やよい軒とかつや

丸亀製麺での約束の時間まで、あと1時間程度だ。 ここから5分も歩けば丸亀製麺には到着する。 もう少し、このドトールに居ることにするか。 氷の溶けきったアイスコーヒーだけであと1時間粘るもの流石に気が引けるので、女が残していった食器を返しに行きがてら、タピオカミルクティを注文して席に戻る。 ムニュムニュした食感のタピオカを噛み締めつつ、 俺はぼんやりと先程のやり取りを思い出す。 そして思う。 相変わらずだな、と。 「相変わらず」とは、あの女の何とも言えぬ 複雑な態度のことだ。 不遜で理不尽に振る舞うかと思えば、 何処か哀しげな雰囲気を纏わせつつ思索に没入する。そうかと思えば気弱で不安そうな態度を示したり、 はたまた四角四面と言ってもいい態度を見せたりもする。 そして、世慣れた風に振る舞いながらも、 誘いめいた言動に対しては動揺した態度を示したりもする。 複雑であり、そして一貫性がない。 それが女の態度に対する俺の印象だ。 スマホへのメッセージも含め、先程の1時間程度の さほど長くないやり取りの中で見せた態度は まさにそうだったし、そして、これまでもそうだった。 ふと、先日の出来事を思い出してみる。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加