7 スシロー

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ラーメンをそそくさと食べ終えた俺たちは、お皿を色別に重ねてから店員さんを呼び、会計をしてもらう。 そして、レジにてお金を支払う。 支払ったのは俺だった。 スシローの自動ドアを出たところで、紗花は財布を取り出しながら半分は払わせてと言ってくる。 俺はいいからいいからと笑いながら彼女の申し出を断るものの、紗花はそれを承知しようとしない。 そのようなやり取りを一頻り重ね、紗花が三分の一程度の切りの良い金額を俺に払うことで話は落ち着いた。 ここ最近の、いつものやり取りだ。 荻窪駅前の通りはすっかり陽も落ち、吹き抜ける微風はその冷たさを最前より増しているようにも思えた。 週末のためか、街を行く人々の足取りは何処かしら暢気さを感じさせた。 寒々しさを感じさせるアーケードの光を浴びながら、俺と紗花は無言で歩む。 俺たちは、何時しか手を繋ぎ合っていた。 そして、お互いの指を、お互いの掌を弄んでいた。 指と指を擦り合わせ、掌を引っ掻き、そして、汗ばむ程に強く握り締め合った。 俺も紗花も、お互いの熱を、そして、お互いの肌を貪り始めていた。 言葉は交わさぬまでも、俺も、紗花も、同じ衝動に駆られていた。 漸く、俺の部屋に辿り着く。 アパートの扉が閉じる。 ガチャン、と重々しく施錠の音が響く。 それは、外界から俺たち二人を切り離す音のようであるように思えた。 それは、俺と紗花とがそれまで押さえ込んでいた欲情が解き放たれた音のようでもあり。
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