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「は?」
店主が眉間に皺を寄せる。
「高いって言うのかい? 幸運の指輪だよ」
「幸運の指輪なんてものはないです。だって、指輪で幸運になれるなんて、根拠がないもの。それに、本当に幸運になれるのなら、持ち主が手放すはずがないと思います」
青藍はあっけらかんと言ってのけた。
店主の顔がみるみる不機嫌になる。
「お嬢さん、うちの商品に文句を付けようっていうのかい?」
声を荒げた店主に、青藍は、
「これは幸運の指輪じゃないけど、その値段だと安いと思います。この珠を通して見たら、髪の毛が二本に見える。玻璃だったらこうはいかない。これ、水晶ですよ。玻璃よりも高価なものです。だからその値段だと、割に合わないです」
と言った。店主の目が丸くなる。
「本当かい?」
「はい。もっと値段を上げて、見る目のある人に売るといいと思いますよ」
青藍の助言に、店主が「そうかそうか」と嬉しそうにしている。
「私の手持ちでは、その水晶に見合う分は出せないから、遠慮しておきますね。翠玉、行きましょう」
そう言うと、青藍は指輪を置いた。
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