目にもの見せてくれるわっ

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 ─── アサギと契約を交わした3日後。  ロッタは先日と同じように王宮の裏庭にいた。もちろんアサギも一緒に。 「まず、一人になったらコレを自分の身体に振りかけろ」 「はい!」 「心配なら、こっちもぶっかけろ。効き目はかなり強力だ」 「ぅいっす」 「で、念の為これも持って行け。飲み物に入れるんだ」 「あいっ。……でも、飲み物なんかあるかなぁ」 「なきゃ、なんとかして用意してもらえ。緊張しすぎて喉が渇いたとか。自分一人だけ、飲食するのは気が引けるからご一緒してくださいとか、適当な理由を使え」 「う、うん」  本日も樽の上に腰かけるロッタの膝の上には、2つの粉薬の包みと一つの小瓶がある。  それは本当に小さくて、ひとまとめにしてもロッタの片手に余るほどの大きさだった。  粉薬は振りかけるだけで、男性の性欲を抑える効用がある。小瓶の中身も、粉薬と同じ。  まぁ簡単に言えば、強制的に男性を不能にできる、女性にとったら最高の防犯アイテムだ。男性に取ったらどんな毒薬より恐ろしいものかもしれないが。  そしてこんな劇薬をたった3日で手に入れることができるアサギは、どんな伝手があるのか気になるところ。  でも今は、それを問い詰めることより他にやることがある。 「あと、これは暗記しろ。青い文字で書いてあるところは絶対に間違えるな」 「え゛、これ全部?」 「当たり前だ」 「う、うんっ。わかった。任せて!」  アサギはロッタの前に立って、5日後に迫った夜伽において一泡吹かせる段取りを書いたレポート用紙を手渡した。  それは一枚だったけれど、びっちりアサギの手書の文字で埋められている。小さく折りたたんで、部屋でも隠すことができるようにとの配慮なのだろう。  ロッタはアサギの気遣いに感謝しつつ、さっそく文字を目で追った。  ちなみにこのレポート用紙には、なかなか卑猥なことが書かれている。  妙齢の女性なら間違いなく赤面するし、そうじゃなくても人前で読むことに抵抗がある内容だった。   でもロッタは真剣な表情で黙読している。一語一句脳に刻み込もうとする意気込みが痛い程、伝わってくる。  そんなロッタを見守るアサギは、微妙な顔をしている。 「ロッタ……なんかあったか?」 「あった」  即答したロッタだけれど、詳細は語らない。でも、レポート用紙を握る手は、怒りに震えていた。  ─── 実は昨日、ロッタの身に大変屈辱的な事件が起こったのだ。  休暇を与えられてもやることがないロッタは、メイド達の追及にうんざりして、王宮の端っこの、もっと端っこにある馬小屋に身を隠そうと思った。  けれど、ここで神様はロッタに意地悪をした。  王妃マルガリータとその取り巻き一同と鉢合わせをしてしまったのだった。 
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