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太陽
暖炉に当たって、スープを飲んで温まる。それがキミの唯一の安息であり楽しみであった。夢や希望と呼ぶには些か温いが、日常を繰り返す為には十分な温みでもあった。
そうして、暖炉にくべるだけのゴミが籠から無くなるまで、ぼうっとくつろいでいた。ゴミが無くなった事が就寝の合図だ。
火の始末をした後、キミはベッドの上で横になった。
部屋は十分暖かい。
この暖かさが、朝日が昇るまで続くことをキミは知っている。
キミは眠りに落ちるまでの間、窓から見える海の向こうを見ていた。
海は相変わらずの紺色をなびかせているが、その奥の奥、太陽が消えて行った水平線は青白く光っていた。あの光が何なのか、正体は解らないが、キミは何となくあの光が何なのかを予想していた。
あの光は、もしかしたらゴミを発生させているのかも知れない。
或いはゴミが燃え易くなるようにしているのかも知れない。
或いはゴミが水に浮くようにしているのかも知れない。
或いはゴミが固くなるようにしているのかも知れない。
或いはゴミが黒く……。
闇の向こう、青白い光を見ながら思いを馳せ、キミはゆっくりと暖かな暗闇へ落ちて行った。
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